この響灘ビオトープは1984年、 当時の日本野鳥の会北九州支部が「響灘バードサンクチュアリ」とし

て構想を作成し、北九州市に提案してきた場所です。そして、支部活動の主要な目標として推進し引き継いで

きました。


 その後、長い間進展はありませんでしたが、2005年、当時の九州国際大学次世代システム研究所(所長

:岡本久人・当会会員)などの働きかけにより、北九州市環境局は「響灘・鳥がさえずる緑の回廊創生基本構

想」を発表し、事業化を行い、目標に向かって取り組むようになりました。当会が当初提案した内容を基本に

「産業・人・自然が響きあう緑の回廊づくり」として、推進されてきました。

 その後、北九州市はビオトープ建設検討委員会を発足させ、その委員として、当会会員の2名が参加し、委

員会の意見をもとに事業を進め、さらに「北九州市自然環境保全ネットワークの会」(代表:森本嘉人、事務

局:北九州市環境局環境未来都市推進室)においても具体的な討議を行い、実施に向かって進み始めました。

 響灘埋立地は誘致企業の建設地やコンテナ基地などに様変わりしましたが、廃棄物処分場跡地の一画である

この地域には自然が再生し、希少生物が生息するようになり、湿原に生息する唯一のタカ類であるチュウヒ、

ベッコウトンボ、メダカなどはその代表種です。このような希少生物の生息地「響灘埋め立て地」を、私たち

日本野鳥の会北九州は長年、野鳥をシンボル として、自然環境保全の見本となるように働きかけてきましたが

その場所の一部が「響灘ビオトープ」という形でバードサンクチュアリ実現の運びになったことを会員はもと

より、この活動を支援していただいた皆様とともに喜びとするところです。


 当会の構想から北九州市への提案、そして実現まで、本当に長い年月が経過しました。北九州市において は

当会の提案を政策として残し、担当部署は幾度も変わりましたが、今回の実現に向けて取り組まれたことに謝

意を表したいと思います。


 このたび、開園の運びとなったビオトープですが、今後も課題が多く、開園と並行して外来種対策を始め と

する環境保全に真摯に取り組むことが求められます。響灘ビオトープの運営に対しては、私たち日本野鳥の会

北九州を挙げて支援協力をしていくこととしています。既に、「響灘ビオトープ愛好会」には当会の会員が代

表を務めるなど中心的存在となり、それぞれの活動を開始しています。多くの人が当地を訪れ、自然環境の創

造事業に関心を持ってもらえば幸いです。




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